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トール(現:JPロジスティクス)の残業代問題とは何か

更新日:3月4日

労評弁護団・指宿昭一弁護士の解説から読み解く

トールエクスプレスジャパン(以下「トール」)で働く労働者の間で、長年にわたり「残業代が正しく支払われていないのではないか」という疑問が広がってきました。 この問題を法的に整理すると、トールの賃金規則には大きく 2つの問題点 が存在します。

1. 通常の賃金に対する割増賃金(時間外手当A)が実質的に支払われていない


トールでは、通常の賃金(職務給など)に対する残業代を「時間外手当A」と呼んでいます。 賃金明細には「時間外手当A」が記載されており、形式上は支払われているように見えます。

しかし、実際には 能率手当の計算式の中で時間外手当Aが差し引かれる仕組み になっています。


■ 能率手当の計算式

[ 能率手当 = 賃金対象額 - 時間外手当A ]


つまり、時間外手当Aを支払ったとしても、同じ金額を能率手当から差し引くため、賃金総額は変わらない のです。


■ 結果として起きていること

  • 時間外手当Aは「払ったことにしているだけ」

  • 実質的には残業代が支払われていない

  • 労基法37条1項の趣旨に反する脱法行為


このような手法は、タクシー・トラック業界でしばしば見られますが、裁判所は厳しく判断しています。


■ 国際自動車(KM)事件の判決

東京地裁・東京高裁は、

「形式上支払っていても、実質的に支払っていない場合は公序良俗違反で無効」 と判断し、会社に未払残業代の支払いを命じました。


トールの仕組みも同じ構造であるため、同様の判断が妥当だと考えられます。

2. 能率給に対する割増賃金(時間外手当B)が不足している


能率給に対する残業代が「時間外手当B」です。

しかし、能率手当の金額自体が [ 賃金対象額 - 時間外手当A ] と不当に減らされているため、そこから計算される時間外手当Bも 本来より少なくなる 仕組みになっています。

もし「-時間外手当A」の控除が無効となれば、


  • 能率手当は本来の「賃金対象額」になる

  • それに応じて時間外手当Bも増える

  • これまで支払われてきた時間外手当Bは不足している という結論になります。

3. トール広島営業所の労働者が訴訟を提起


2016年6月14日、トール広島営業所の労働者たちは労評トール広島分会を結成し、 9名の原告が大阪地裁に未払賃金を請求する訴訟を提起 しました。


この動きは関西テレビ、毎日新聞、産経新聞などでも報道され、社会的な注目を集めています。

4. 全国のトール労働者へ ― 未払残業代を取り戻すために


トールの賃金規則は、

  • 通常賃金の残業代(時間外手当A)

  • 能率給の残業代(時間外手当B) の両方で不払いが生じる構造になっています。


これは労働基準法の趣旨に反し、裁判例から見ても違法性が強いといえます。

関心のある方は、 労評(日本労働評議会) または 暁法律事務所 に相談することができます。ぜひ、お気軽にご連絡ください。




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